大学入試の過去問題集といったら、まずは「赤本」が頭に思い浮かぶであろう。
名前の由来は表紙が「赤い」から。「過去問=赤本」といわれるほど、受験界における赤本の知名度は高い。教学社出版のこの「赤本」は、過去数年分の入試問題と解答・解説や、大学の情報・傾向が載っている最も基本となるタイプだ。
全国の国公立・私立の大学の学部別・日程別に、数え切れないほどの種類が出版されている。また、大学の過去問だけでなく、センター試験の過去問が17カ年分(本試・追試)も掲載された『大学入試センター試験過去問研究』も教科ごとに出ている。
さらに、東大・京大の過去25カ年分の英語と数学、早慶や関関同立など難関私立の英語の問題を集めた『難関校過去問シリーズ』もある。
毎年約600種類も出版され、本屋に平積みになっている赤本を、一度も手にしない受験生はいないであろう。
赤本の次にたくさん目にするのが、表紙の青い「青本」である。これは駿台から出版されているもので、「赤本」との違いは、解説がより丁寧であり精錬されていることだ。その代わり、赤本より掲載年度数が少なく、大学の種類も少ない。
そして、河合出版の黒い表紙「黒本」。センター試験の過去問『センター試験過去問レビュー』は、赤本と同じで17年分(本試・追試)も掲載されている。そして、河合塾のセンター試験(マーク式)の過去問・予想問題集(模試の過去問)も出版されており、これらを合わせて「黒本」という。
上記の過去問題集以外にも、「代ゼミ」の過去問・予想問題集(模試の過去問)を収録した「白本」、大学過去問は絶版になってしまったが、センターの予想問題・過去問の解説に信頼の高いZ会の「緑本」などがある。
過去問を征する者は受験を征する。過去問選びが合否を決めるカギなのである。
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大学受験を控えた高校生がまず初めに悩むことは何か、それは「効率の良い勉強法」についてである。塾に行くべきか?自学習で済ませるのか?教材は何を使うべきか?など、いざ勉強を開始しようとしたとき、方法論に関する選択肢はたくさんある。
では、勉強法について悩んだ時、いったい何をするのが一番効果的なのだろうか?
私はあえてここで、「全く悩まないこと」を勧めようと思う。
全く悩まないとは、まずは何が勉強の効率を上げるかを考えないで、「とりあえず勉強してみる」ということだ。
ここで、「とりあえずって言っても、やり方を決めなきゃはじめられないじゃん!」という声が返ってきそうであるが、方法論の模索に固執しすぎたために、肝心の勉強が手つかずになってしまい、試験において良い結果を得られなかった人をたくさん見てきた。実は、私もその一人である。「勉強法に固執する人ほど、実は危ない」のである。
「とりあえず」勉強をはじめるときに使う教材は、学校のテキストで十分である。
学校で配られるテキストを馬鹿にしてはいけない。文科省に認定されるように、製作者も精査して作っているのだ。馬鹿にできようがない。科目にもよるが、学校で配られるテキストは難易度、情報量ともに高水準のものが多い。例えば、大学受験において、理系文系を問わず必須科目である英語に関して言えば、「CROWN」を読みこなせれば受からない大学がないと私は思う。
学校のテキストは、自分の実力をはかる「基準」にしてよい。
この基準を自力で突破できなかったときは、何かしらの「穴」があるのである。
では、この穴があることが発覚した場合どうすればよいのか?
ここではじめて参考書の力をかりることになる。
使う教材はなんでもよいが、「一から学ぶ」や「初学者のための」など、明らかに「これから勉強をはじめる人」へ向けたタイトルのものがよい。そして、一度教材を買ったならば、その教材をなるべく短期間で集中してやってみるのである。「
絶対に買った教材をあきらめて途中でやめてはいけない」。一つの参考書は「極めるまでやる」のである。
だいたいどの参考書も、初めから終わりまで全てこなせば、その科目において学ばなければならいことをまんべんなく学べるように作られているだから、自分が理解していること、理解していないところをその一冊の本から徹底的に分析するのである。
勉強をすることに慣れていない人は、一つの参考書を極める作業を苦しく感じるであろうが、この過程を踏んだものは、これからの自分に「何」が必要なのかをすでに理解しているはずだ。
どういった作りの参考書なら自分は効率よく勉強できるか、一人では勉強が無理だから塾に行こうなど、自分には何が必要か見えてくるはずだ。そして、次の勉強法(新しい参考書にとりくむ、塾に行く)を選択するときも、悩むことに時間をかけないはずである。
もともと効率の良い勉強法などないのだから、「とりあえず」勉強をはじめてみる。そうすれば、自分に合った勉強法というものは自然と見つかるものである。もう大学受験も時期的には序盤を遠にすぎてしまっているが、いまだに勉強が手つかずの人は、「とりあえず」勉強をしてみる、その勇気を持って欲しいと思う。